2015年06月22日

唄うたいのゴーシャ

以前に、セロ弾きのゴーシュからぱくった台本を書いたのが出てきた(台本と言えるのか?)
しかし意外と面白かったので、このまま忘れてしまわない為に載せます。
上演したい方、ご自由にどうぞ(笑)


歌うたいのゴーシャ
原作:宮沢賢治 セロ弾きのゴーシュより
翻案:秋山桃花


パート1(朗読)

ゴーシャは町の音楽隊で歌を歌っていました。けれどもあんまりじょうずでないという評判でした。じょうずでないどころではなくじつはなかまの中ではいちばんへたでしたから、いつでも楽長にいじめられるのでした。
 ひるすぎみんなは楽屋にまるくならんでこんどの町の音楽会へ出す曲の練習をしていました。 
ゴーシャも口を大きく開けて、目をさらのようにして楽譜を見つめながら、もう一心に歌っています。
 にわかに、ぱたっと楽長が両手を鳴らしました。
 みんなぴたりと曲をやめてしんとしました。楽長がどなりました。
「ゴーシャがおくれた。トォテテ テテテイ、ここからやり直し。はいっ。」
 みんなは今のところの少し前のところからやりなおしました。ゴーシャは顔をまっ赤にして、ひたいにあせを出しながら、やっと今言われたところをとおりま した。ほっと安心しながら、つづけて歌っていますと、楽長がまた手をぱっとうちました。
「ゴーシャ!音がフラットしている。こまるなあ。ぼくはきみにドレミファを教えてまでいるひまはないんだがなあ。」
 みんなはきのどくそうにして、わざとじぶんの譜をのぞきこんだりしています。
「今の前の小節から。はいっ。」
 そらと思って歌いだしたかと思うと、いきなり楽長があしをどんとふんで、どなりだしました。
「だめだ。まるでなっていない。このへんは曲の心臓なんだ。それがこんながさがさしたことで。しょくん。演奏までもうあと十日しかないんだよ。音楽を専門 にやっている僕らが、あの金靴鍛冶だの砂糖屋のでっちなんかのよりあつまりに負けてしまったら、いったいわれわれの面目はどうなるんだ。おいゴーシャ君。 きみにはこまるんだがなあ。表情と言うことがまるで出来ていない。おこるもよろこぶも感情というものがさっぱり出ないんだ。それにどうしてもぴたっとほか の人と合わないもんなあ。いつでもきみだけ、とけたくつのひもを引きずって、みんなのあとをついて歩くようなんだ。こまるよ、しっかりしてくれないとね え。光輝あるわが金星音楽団が、きみひとりのためにあくひょうをとるようなことでは、みんなへもまったく気の毒だからな。ではきょうは練習はここまで、や すんで六時かっきりボックスへ入ってくれたまえ。」
 みんなおじぎをして、それからたばこをくわえてマッチをすったり、どこかへ出ていったりしました。
 ゴーシャは、そのそまつな箱みたいなセロをかかえて、かべの方へ向いて口を曲げてぼろぼろなみだをこぼしましたが、気をとりなおして、じぶんだけたった ひとり、いまやったところをはじめからしずかに、もいちど歌いはじめました。


何か歌う。


<パート2>ひとり芝居。かっこうに音程を教えるの巻
 
(「こつこつ」というSE)

「どなた?」

「かっこう」(モモがサンプラーで音を出す)

「かっこう?なんの用?」

「かっこう、かっこう」

「音楽を教わりたいって、、あなたの歌は、かくこう、かくこうというだけじゃあないの」

「かっこう」(はげしく言い返す)

「むずかしいもんですか。あなたたちのは、たくさん鳴くのがひどいだけで、鳴きようはなんでもないじゃないの。」

「かっこう」(いろいろな高さで弾く)

「そんなにちがわないわ、、、え?ドレミファがやりたいの?わかったわ。じゃあ三べんだけ歌ってあげるから、すんだらさっさと帰ってね。〔歌う〕」

「違うって、、、、なにがちがうのよ。じゃああなたやってごらんなさいよ。」

「かっこう」(ドレミファで引き続けるが、ずれている。ちゃんとした曲をひくが、微妙にずれていても良い)


「いいかげんにして、、、、、え?ちゃんと見てほしいって、、、、じゃあこれっきりよ。」

〔かっこうにレッスンしたり、一緒にうたったりする〕

「なかなかいいじゃないの、、、、、いいわよ。また困ったらいらっしゃい」
(かっこうを送り出す)


<パート3>ひとり芝居。たぬきにリズムを教えるの巻

ゴーシャ、歌っている。
太鼓の音が近づいてくる。
音とともにたぬきが入ってきたと想定して。

「こら、たぬき、おまえはたぬきじるということを知っているのっ。」

「ぽんぽこ(たいこの音)」

「知らないの?では教えてあげるわ。たぬきじるというのはね。あなたのようなたぬきをな、キャベジや塩とまぜてくたくたとにて、私がたべれるようにしたものよ」

「ぽんぽこ(ショック)」

「え?たいこをならいにきたの?」

「ぽんぽこぽんぽこぽんぽこぽんぽこぽんぽこぽんぽこ(ものすごく何か説明する)」

「わかったわかった。私の歌にあわせて練習するって、、、」

「ぽんぽこ」

「狸のはらづづみ、って本当なのね」
リズムの取り方など教える。
お客さんに舞台に上がってもらってタイコをたたいてもらってもい。

「、、、え?リクエストが有るの?〔お客さんに書いてもらった紙から適当にひいて即興でなにかやる〕」


<パート4>ひとり芝居。猫にダンスを教えるの巻

ゴーシャ、歌っている。

床のダンボールの中から猫の鳴き声。
のぞくと猫がいる(と想像する)

「あらかわいい三毛猫。どうしたのかしら、、、、え?ダンスを習いたい?」

箱の中で踊っている模様(ごとごと音がする)

「あらなかなか上手じゃないの」

さらにステップを教えたりする。

「じゃあ歌と曲に合わせてやってみる?」
箱の中から、暴れている音や、尻尾をふまれてぎゃーっていう音とか、いろんな音がする
だんだん激しい曲になって、断末魔のさけびとともに、箱の中の音が途絶える。
のぞくと、ねこはたおれている(らしい)

「あら。おつかれさま。ゆっくり休んでいきなさい。」


<パート5>床下ののねずみたち(観客)を癒すの巻

ゴーシャ、歌っている。

「(観客席を見下ろし)あら?野ねずみ?どうしたの?,,,え?子ねずみの具合が悪い?」

「私は医者じゃないからムリよ、、、、あっ泣かないで」

「私がみんなの病気をなおしているなんて、、、それはなにかのまちがいよ。私はみみずくの病気なんかなおしてやったことはないわあ。もっともたぬきの子はゆうべ来て楽隊のまねをして いったけどね。、、、、え?私が歌を歌えば、みみずくやうさぎの病気がなおると。どういうわけ?。それは。」


「病気になると、みんなうちの床下にはいってなおすって、、、ああそうか。私の歌声で、みんなの病気がなおるというの?」

床下を覗き、お客さんをいろいろな動物にみたてて「うわあ本当だ、患者さんがたくさんいる。よし。わかった。やってあげる。」

少し歌を歌う


「なあんだ、これでいいのね。」 
(「具合はどうですか?とお客さんに聞いたりする」

ヒーリング的な歌とか、香りをたいたりとか、お客様を癒したり、お客さんにもレッスンしたりする。


<パート6>朗読
それから六日めのばんでした。金星音楽団の人たちは、町の公会堂のホールのうらにあるひかえ室へ、みんなぱっと顔をほてらして、ぞろぞろホールの舞台からひきあげてきました。しゅびよく第六交響曲をしあげたのです。ホールでは、はく手の音がまだあらしのように鳴っております。楽長 はポケットへ手をつっこんで、はく手なんかどうでもいいというように、のそのそみんなの間を歩きまわっていましたが、じつはどうして、うれしさでいっぱい なのでした。

 ホールはまだパチパチ手が鳴っています。それどころではなく、いよいよ手がつけられないような音になりました。大きな白いリボンをむねにつけて、司会者 がはいってきました。
「アンコールをやっていますが、なにかみじかいものでも聞かせてくださいませんか。」
 すると楽長がきっとなってこたえました。
「いけませんな。こういう大物のあとへなにを出したって、こっちの気のすむようにはいくもんでないんです。」
「では楽長さん、出てちょっとあいさつしてください。」
「だめだ。おい、ゴーシャ君、なにか出て歌ってやってくれ。」
「わたしがですか。」
 ゴーシャはあっけにとられました。
「きみだ、きみだ。さあ出ていきたまえ。」
 楽長がいいました。

ここから、動物たちへのお礼を言ったり、自由にショー。




posted by 女性作曲家 at 07:49| 女性作曲家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする